亜人種愛好家から見た『ダンジョン飯』

 今回は以前から愛読しているダンジョン飯が全巻&作者によるラクガキ本が発売された事から、けも耳…というか亜人種愛好家的視点でダンジョン飯を紹介したいと思います。

画像はアニメ「ダンジョン飯」第2期公式サイトより引用

ダンジョン飯とは

 ダンジョン飯は九井諒子先生による長編漫画で、コミックハルタで2023年9月まで約10年にわたり連載されていました。

 作品の世界観は当然フィクションですが、いわゆる王道的ファンタジー世界の中、ダンジョンを攻略しつつ、登場するモンスターなどを実在する調理方法で食していくお話となります。

 九井先生は同人作品や短編などを手がけられている頃からキャラやストーリーに細かく設定を設けた上で作品を展開する特徴を持っており、今作も緻密なストーリーや人物の背景、世界観などを我々読者に見せつけてくれています。

 上手く表現できませんが、風呂敷を広げまくった後で丁寧にそれを畳んですっとお出しする感じ、といえば分かっていただけるでしょうか。

 なおあらすじについてはWikipediaなどを見れば概ね分かりますので、ここでは割愛します。

亜人種が沢山登場する

 この作品には人間(トールマン)をはじめ、エルフ、ハーフエルフ、ドワーフ、ハーフフット、ノーム、オーク、オーガ、コボルト、魔物など多くの種類の亜人や生物が登場します。
 この分類…世代によってはD&D(ダンジョン&ドラゴン)やウィザードリー、ロードス島戦記、ガープスなどを思い出すのではないでしょうか。
 若い人達はこれら多彩な人種?に新鮮さをかんじるかもしれませんし、私達のようないい歳のおっちゃんおばちゃん世代には懐かしさを感じるのではないでしょうか。

 現在は異世界転生モノをはじめ多種多様なファンタジー世界が存在しますが、実はよく考えるとあまり多くの種類の亜人種は登場しません。
 ダンジョン飯は多様な亜人種が登場しますし、それらが普通にシーンに登場しても違和感を感じる事はありません。それだけ世界観がしっかりできている証左でしょう。

ちゃんと描き分けられている

 九井先生の作品、絵柄の影響も大きいのですが、それぞれ亜人種の描き分けができているのは感動さえ覚えます。

 ダンジョン飯の他に九井先生がラクガキ本として出された『デイドリームアワー』という作品がありますが、こちらを見ますと一人の登場キャラがいろいろな人種になった場合の違いがしっかり描かれています。
 また本編にはありませんが、亜人種によって骨の本数の違いを考慮されていた旨も言及されています。

 耳の形状でエルフとハーフエルフを区別してると知った時は目から鱗でした。

キメラまで考えている

 詳細は書きませんが、主人公の妹がキメラになります。

 ここでも九井先生の細やかな部分と言いますか、かなり考えてキメラができています。
 内蔵や筋肉の構成まで考えていたのは…ほんと、すごいですね。

おすすめです

 この作品は、ファンタジーに抵抗がなく、ほんの少しあるグロ要素に抵抗がなく、九井先生の絵柄に抵抗がなく、亜人種が好きな人にはかなりお勧めできる作品です。

 実のところ、細かい点でツッコミ部分がなくはありません。
 時間的金銭的余裕があればその点についてじっくり考察したいとも思いましたが、いや、これは何も考えず心を空っぽにして通しで読んだ方が読後の達成感、感動度合いがだんぜん違うと思います。

 ツッコミ部分があっても気にしてはいけません。
 これは「フィクション」なのですから!

 そういう野暮な考えを持たずに読んで欲しい、そういう作品でございます。