絵師の呼称のはじまりより、電脳絵師という表現(雑感)

日付:2024/03/16(土)
題名:97年発行の書籍で「電脳絵師」を名乗っている例を確認しました
出典元:X(旧twitter) 東條のと氏
アドレス:https://twitter.com/Ayukawa_Reiji/status/1768656069428121652

上記雑誌画像の出典元:『お遊びお絵描きソフト完全マニュアル : Windows95&Macintosh』ソフトバンク、1997年4月


さらに遡ると

日付:1988年10月14日(金)
出典:『ASAHIパソコン』創刊号(11月1日号)

上記雑誌内のコーナーにて
「MPU電脳絵師養成講座①パソコンを画材に/自由な発想に期待」古川タク+岩井俊雄
があり、こちらでも電脳絵師という名称が確認できる。


 もう少し時間があればさらに遡って用語の使用の確認ができるかもしれないが、記者の個人的な感覚では1980年代後半から1990年代には電脳絵師という呼称があった気がしている。
 当時はアナログ全盛の頃であり、アナログと区別を付ける意味合いもあって電脳という用語が用いられたのではないだろうか。

 そもそも「絵師」という言葉は遡ると江戸時代の浮世絵師を指す言葉であり、さらには平安、もっと言ってしまえば律令、いや「中国の」律令制の頃から存在している。

 大変大雑把な流れになるが、以前調べた史料や記者個人の記憶により、次のような流れで現在の絵師という言葉が定着したのではないかと考えている。

【江戸~昭和中期】
浮世絵などで絵師の呼称が用いられる。明治以降で絵師の用語が多用された裏付けが見当たらない。
【80年代】
マッキントッシュが1984年に発売される。CGツールとして世間に広まったのは80年代後半からとみている。この頃に「コンピューターによる絵描き」を中華風に「電脳絵師」と読んだと思われる。
 その背景として、この時代はアジアンサイバーパンク的なSFがサブカルチャーに多大な影響を与えており、コンピュータにまつわるものは中華風にする傾向が見受けられた。
 余談になるがこの80年代から90年代の時期から急速に美少女という概念が広がりをみせ、萌えという用語も見受けられた気がする。
【00年代】
 PCによるイラストが普及し、電脳絵師とあえて言うケースが減ったことから「電脳」の用語だけが消え、絵師が残ったのではないだろうか。
 上記はあくまでも記者による雑感であり、なにも裏付けとなる史料は用いていない事を付け加えておく。